伊藤ふたばさんの最年少初優勝と藤井快さんの史上初連覇で幕を閉じた第12回ボルダリングジャパンカップ。
あの感動から一年。
第13回ボルダリングジャパンカップは、2018年2月3日予選、4日準決勝・決勝が行われました。会場は昨年の代々木第二体育館から駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場へ移して開催です。
それまでは、深谷のジムとか加須の体育館で行われていましたので、東京の中心で行うなんて、隔世の感があります。
準決勝・決勝のチケットは前売り完売でした。
ジャパンカップ準決勝からの観戦記です。
ジャパンカップの観客席は全席自由です。
ですから開場前には並びます。開場は8時半。8時15分頃には到着しましたが、既に長い列です。そのうちすぐに自分たちの後ろにも長い列ができていきます。
いよいよ、8時半。チケットを渡し持ち物検査をくぐり抜け会場に入ります。
会場は、まだルートセッティング中です。
ああ、こんな課題を登るんだなあと思いながら、いい席を探します。
アリーナは課題から近いのですが、前の人の頭が邪魔になるかもというのと、課題は横に広いので、視認性から若干後ろの段になってる席にしました。
9時30分、いよいよ準決勝が始まります。
予選を勝ち抜いた男女20名(女子は21名)が競い、そのうちの上位6名が決勝に進みます。課題数は4。その4課題の完登数、完登数が同じ場合は完登までに行ったトライ数、それも同じなら、ボーナスポイントの取得数で順位が決まります。課題の制限時間は4分。
今年からレギュレーションが変わり、4分内にゴールを取らないといけません。昨年までは時間制限ぎりぎりに登り始める人が多かったのです。
準決勝は、オブザベーションを入れての4分です。選手は4分毎に入れ替わり、次の課題、次の課題と4分のインターバルをとりながら登ります。
横に並んだ男女8つの課題。
一番多いときでは、8人がいっぺんに登ります。誰を見ようかと悩みます。
完登した時を見逃すわけにはいきません。
女子は、昨年4位だった14歳の森秋彩選手が絶好調です。一人だけ4課題全てを完登します。野中美萌さん野口啓代さんは3完登。2位3位で決勝に進みます。
4位は、これも好調だった谷井菜月さん、3完登で4位です。前年優勝、15
歳の伊藤ふたばさんは苦戦し2課題の完登に終わります、5位。
決勝に進んだのは、他に1完登の尾上彩さんでした。加島智子さんは、惜しくも7位で決勝には進めませんでした。1課題目が一撃だったので残念でした。
男子は、今年も課題が難しい。最高で2課題の完登でした。
2課題を完登したのは藤井快さんと楢崎智亜さん。順当と言ったところでしょうか。
4課題目は難しすぎて誰も完登できません。ああいう誰も完登できない課題は、どうやったら登れるか全く分からないので、後日テレビでもいいので解説してほしいものです。
1課題完登できたのは、7人。
決勝へ進んだのは他に、原田海さん石松大晟さん杉本怜さん村井隆一さんです。
期待の高かった緒方良行さんは7位、渡部桂太さんは8位でした。
男子は群雄割拠で、決勝の顔ぶれが毎年大きく変わるのです。
さて、午後は決勝です。
決勝は、女子から一課題毎に順番で一人ずつが登ります。観客はもうどこを見ればいいのか悩むことはありません。
視線が一箇所に集中するため、準決勝以上に盛り上がっていくことになります。
観客からは自然と、「がんば!がんば!」「ああぁぁぁぁ」「うぉおーーーーーーーお!!!」と歓声が沸き起こります。まるで地響きを立ててるようにです。
そんな大歓声の中、決勝でも絶好調だったのは、森秋彩さんでした。特に、他の選手がことごとく苦しみ、野口さんがやっと4トライ目でゴールした第3課題を一撃します。この時の「うぉおーーーーーーーーーーーお!!!!」は、その日一番の大歓声でした。
第3課題までの全完登は、森さんと野口さんの2人。2課題完登が伊藤ふたばさんです。ただ、伊藤さんはトライ数で4課題目を完登しても森さんには及ばないため連覇はなくなりました。
最後の4課題目。伊藤さんが完登します。
続いて野口さんが2トライ目で完登します。
それまで不振だった野中さんが一矢報います。
そして、最後に森さんの順番が来ます。トライ数から3回目までで完登できれば野口さんを逆転して優勝です。
最後の課題はランジ課題です。それも両方から挟み込むようにしないと取れません。身長が154cmの森さんは苦戦するのではと思っていました。実は、昨年もこういうランジ課題が登れなかったからです。
1トライ目、最初のホールドがとれません。2トライ目もそうです。
勝負の3トライ目。取ってくれ!と思い見ていましたが、取れませんでした。野口さんの優勝が決まった瞬間でした。
それからも、森さんは果敢に課題に挑み続けます。
戦いが終わった後には優勝者インタビューがありました。
野口さんは、勝利できなかったこの一年を振り返ります。引退することも考えたそうです。目から涙が零れ落ちそうなインタビューでした。
続いて、男子決勝です。
昨年は、完登数が非常に少なくカタルシスがない大会でした。あまりに課題が辛すぎると、見ている方も心地よくありませんから。
今年は、そのような鬼課題ではなく、どの課題も完登者が出るというナイスセッティングでした。
第1課題は手足同一ホールドでルーフにある課題です。どうやってスタートするんだろうと思ってたら、全員完登です、それもあっという間です。歓声が続きます。
2課題目は反対にスラブ課題。ゴール3手前の足のホールドが悪くここでみんな止まります。たとえそこをいけても、ゴール前のホールドがまた悪く行く手を阻みます。
5人が失敗した中、最後の藤井さんが何と一撃で完登します。この時の歓声ももの凄かったです。
第3課題は、超ダイナミックな課題です。ホールドにランジして次のホールドをすぐ取り、体を振られながらも足で止め、それから次のホールドを取っていきます。最近これ系の課題は必ず決勝に組み込まれますので、皆さん得意です。
そして、最終の第4課題。最初登った村井さんが一撃したので、簡単なん?と思ってたら、全くそんなことは無くそれからは誰も完登できないという超難関課題でした。
3課題を完登したのは藤井さんと村井さん。
優勝はトライ数の少なかった藤井さんが制しました。
史上初の3連覇です。
ボルダリングジャパンカップ、2年連続で観戦しましたが超面白い大会でした。
野口啓代さん、藤井快さん。
優勝おめでとうございます。
それから、戦った選手の皆さん、お疲れ様でした。